株式会社 和久田幸佑建築設計事務所
建築/デザイン/インテリア/リノベーション
国分中央の集合住宅
用途:共同住宅
規模:2090㎡ 地上5階
構造:RC造
所在地:鹿児島県霧島市
写真:小野寺宗貴
建物中央に広い共用廊下を計画し、そこに連続する大きな玄関土間のある住戸プランとしています。建物内部に確保した広い共用廊下に、各住戸の生活がほんのりと滲み出て、気配を感じたり、交流を望む住人にはコミュニケーションを促すような空間づくりとなっています。玄関扉を開けると広い土間空間を備え、住戸によっては、土間空間がそのままバルコニーへ連続します。共用廊下、玄関土間、バルコニーが連続する住戸プランは、住戸の専用部と共用部の関係性をより豊かにします。“靴を脱ぐ場所としての玄関”、“洗濯物を干すためのバルコニー”といった、従来の役割を超えて、これらの空間が様々に活用され、そこで営まれる活き活きとした人々の暮らしの賑わいが建物越しに新たな景観をつくり出すことを期待しています。
建物の外観としては、5階建の大きなボリュームをどのように周囲に馴染ませるかということに腐心しました。圧迫感を低減する白基調の外壁に、「バルコニーの開口」と「窓」をリズミカルに配置することで、バルコニーが積層する“集合住宅然”とした外観とならないように配慮しました。更なるアクセントとして、開口部下の腰部にライトブルーの施釉タイルを施しています。ライトブルーの施釉タイルは、光の反射によって、下から上に向かって色が変化します。それはまるで周囲に広がる鹿児島の大空のグラデーションと対応するようです。周囲に広がる地平線やスカイラインとの連続を意識しています。白基調の外壁は空の色を映し込み、一日の時間とともに表情が変化します。
周囲に調和する建物の外観を背景として、人々の日常の賑わいが活き活きと溢れ出す新たな景観をつくり出すことができたと思っています。