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国分のモデルハウス

用途:住宅

規模:122㎡ 地上2階

構造:W造

所在地:鹿児島県霧島市

竣工:2019.12.31

​受賞:グッドデザイン賞2020

​   第14回建築九州賞(作品賞)奨励作品

​掲載:KENCHIKU

 通信ネットワークが整備され、コンピュータをはじめとする各種端末が個人へと行き渡り、またそれらを利用したアプリケーションも多様に取り揃えられ、社会と個人が容易に直接繋がれるようになって久しい。人々の社会活動が場所を選ばずに行うことができる設備基盤が整備されたとすれば、選ばれなくなった場所の持つ意味とは何なのか。

 群としての住宅の設計・建設に先立って行うモデルハウスの設計の機会を得る中で、場所を選ばなくなった社会活動の場が住宅の中にあるとしたら、どういう空間・場所であるべきか、あらためて住宅に備えられるべき機能、空間について考えてみた。また、それらが群として連なって建設されることも前提に、ビルダーとの協働の中でこそ実現可能な、住宅群を中心とする社会活動の在り様について提案している。

 住宅本来の「住む」という機能に加え、個人と社会が繋がる「空間的拠点」としての役割を担う必要があるのではないか。個人の生活の場として必要なスペースは当然に確保しながら、その一部を使い方によってパブリックな場所へと変容させ、住まうことに留まらない多様な活動の受け皿となる空間を創る。同時に、それらの活動が周辺ないし社会と積極的にシェアされ、相互が共に豊かな関係性を構築しながら発展していく、そんなフィールドをデザインすることを意図している。内から外へと連続するデッキ空間や土間空間が内から外へと広がる様々な活動の受け皿となり、同様の構成の建築群が隣接しながら、街区の中に1階レベルで内外を連続する街区スケープを形成する。

​ 住宅は「住むための機械」から「個人と社会の結節点としての空間拠点」として位置付けを変えながら、日常の生活の中にシームレスに社会活動が連続する場所となり、更にそれらが群として、連鎖することで、日常と社会活動が入り混じりながら、街並みや都市としても変容していくことを期待している。

​ 仕事を自宅でできることはもとより、個人的な趣味の延長が社会へと広がっていくことも想起される。同時に、個人の活動やその他の社会活動がリンクすることで、新たな活動へと展開されていくことも期待される。連鎖の中で発生するコミュニティは、超都市時代にありながらも、顔の見える地域コミュニティの醸成にも寄与すると考える。

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